【NETFLIX】『アノニマス ~“ハッカー”たちの生態~』というドキュメンタリーで彼らの生態を知ることができた

過激なハクティヴィスト集団”アノニマス”。その実態に迫った数少ないドキュメンタリーを観ました。

『アノニマス~“ハッカー”たちの生態~』

原題:We Are Legion:A Story of Hackitivists

LAダウンタウン映画祭、最優秀ドキュメンタリー賞受賞作品。

 

視聴可能なコンテンツは2つ

  • NETFLIX
  • BS世界のドキュメンタリー

このドキュメンタリーは、アノニマスの活動の歴史を、現役アノニマス、元アノニマス、サイバーカルチャーの専門家たちによるインタビューで明かされていくという展開になっています。

小さな不満のエネルギーが集団化し一定方向に向かって向かっていく行動を静観でき、ある種の恐怖を感じます。

アノニマスはハクティビストなのか?それともテロリストなのか?

そんなことを考えさせられる非常にいいドキュメンタリーでした。さすが「世界のBSドキュメンタリー」さんです。

そんなアノニマスについて、彼らの成り立ちや行動を出来る限り分かりやすく紹介したいと思います。

 

アノニマスとは?

「アノニマス」とは「匿名=名無し」という意味。

いわゆるネットオタクがインターネット上でで匿名コメントを残す場合に使われる言葉であり、匿名であるが故にコメントも過激です。

ここで言うアノニマスとは、これらが集団化したものだと考えてください。

 

ハクティビズムとは?

政治的・社会的なメッセージ性をもってサイバー攻撃を行うネット犯罪者、あるいはその集団をさす。アノニマスやラルズセックLulzSecなどの団体や組織がよく知られている。特定の意図で活動するハッカーhackerを表現するために、ハッカーと、活動家を意味するアクティビストactivistを組み合わせた造語である。また、その行動をハクティビズムhacktivismという。

 

アノニマスの成り立ちについて

アノニマスは2003年にアメリカの4チャンネル(日本で言う2チャンネル)で立ち上げられ、無政府主義でデジタル化したグローバル・ブレインとして存在するようになったとされています。

これがネット上に出回っている情報。

しかし、この映画ではもっと話を突っ込んでます。

アノニマスの始まりは、マサチューセッツ工科大学(MIT)の鉄道模範クラブの学生がすべての始まりで、彼らが現実の面白いイタズラや悪ふざけをITに派生させたそうです。

「悪ふざけ」が良くも悪くも「市民活動」に発展していく様子をしっかりと描いていて、ここはこの映画の見どころの一つです。

アノニマスのマスク(お面) について

アノニマスのメンバーは定型化されたガイ・フォークスのお面をかぶっています。

ガイ・フォークスとは、1605年にロンドンの貴族院を爆破しようとしたグループの最も有名なメンバーです。

なぜアノニマスはガイ・フォークスのマスクを被るのか

ガイ・フォークスとは1605年、イギリスでカトリックへの弾圧に抗議して、国王を殺害するため国会を爆破しようとした「火薬陰謀事件」の実行責任者

しかし計画は失敗し逮捕され、拷問のすえに国王に対する大逆罪で「Hanged, drawn and quartered(首吊り・内臓抉り・四つ裂きの刑)」に処刑されました。

なぜこのような陰謀を企てたガイ・フォークスが指示されるのかというと、権力に立ち向かった行動派の英雄として支持されているのです。

「抵抗と匿名の国際的シンボル」や「匿名性のシンボル」として主に講義活動やデモなどで使われることが多いです。

デモが起こると生産工場も忙しくなるそうです。笑

 

これであなたもアノニマスに

不満がある人は被ってから抗議しましょう。

 

2006年公開の「Vフォー・ヴェンデッタ」は、このガイ・フォークスをモチーフにした映画です。

 

アノニマスの集団行動

そんなネットオタクの一部はハッキング技術を持ち、集団で企業や特定の個人に対する悪質なサイバー攻撃を行っています。

 

アノニマスがサーバーをダウンさせる仕組み

「アノニマス=天才ハッカー集団」というのは誤解がありました。

僕もそう思っていたが実際はそうではなかった。

彼らの大半はDDos攻撃と呼ばれる集団攻撃するのが主な手段でした。

DDosについて簡単に言うと、匿名のユーザーが一斉に特定のサイトに接続要求を出し、通信量を溢れさせてサーバーをダウンさせること。

※画像:赤が一般アクセス、黒がアノニマスによるアクセス

言うなればアノニマスと名乗る匿名ユーザーたちがDDos攻撃するためのソフトを使い、特定のサイトに一斉にアクセスするだけのこと。

これがサーバーダウンという結果に繋がっていただけのことでした。

やろうと思えば僕でも参加できる仕組みであったことが恐ろしい。

 

アノニマスがこれまでサイト攻撃してきたウェブサイト

  • アメリカ政府
  • イスラエル政府
  • サイエントロジー教会
  • 児童ポルノ
  • PayPal
  • マスターカード
  • ビザカード
  • 軍事契約企業

上記にあったDDos攻撃に加え、一部のハッカーによるハッキングによる攻撃も含んでいます。

 

なぜ違法行為が市民に受け入れられるのか

明らかな犯罪行為であるにも関わらず、その行為を市民から受け入れられているケースも多々あります。

彼らは情報隠蔽などの抑圧に反発し、ある意味で民主主義を貫こうとする一面も持っているからである。

法律ではなく、市民感情をベースに行動している点がテロ組織との大きな違いだろう。

分かやすい例だと、アノニマスはイスラム国に全面戦争を宣戦布告するなどの、反社会的勢力に対してIT攻撃を加えるなどの行為。

こういった市民感情の怒りを代弁する行動が暗黙の了解として受け入れられているのでしょう。

 

このドキュメンタリー映画を観て思うこと

映画の中でこんなセリフがありました。

「大事なのはあなたの意見。あなたの意見こそが大切。」

この「あなたの意見」という言葉は「=あなたの思想」という意味にも聞こえ、一つ一つのネット上での思想が集まり、巨大なエネルギーとなり、彼らの思想に合わないものは攻撃するのだ、というセリフにも聞こえ恐怖を感じました。

またアノニマスが起こした行動や宣言からも彼らの思想を理解することができます。

これは良くも悪くも。

彼らは単にお面を被った悪ガキ集団なのか、それとも信念を持って活動している非合法活動集団なのか。

このドキュメンタリー映画を観れば、少なからずアノニマスに対してのあなたなりの答えが見つかるはすです

ネットユーザーであるのなら、彼らのような組織があることをしっかりと知っておいたほうが良さそうです。

非常に良いドキュメンタリーでした。

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